近鉄乗務員逃亡事件に見る強すぎるお客様意識は諸悪の根源

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車掌さんが業務をほったらかして逃げて大けがしたニュースが話題になっていますね。

小さい頃から現在に至るまで近鉄ユーザーの私としてはなかなか衝撃的な事件でした。

それはさておき、元駅員経験者としてはこの逃げた車掌さんの気持ちはとてもよくわかりますね。ただやり方がまずすぎたので今回の騒動になったわけです。

実際近鉄側も逃亡して職務放棄したことを問題視しているだけで、客対応がちゃんとできていなかったことを問題にしてませんしね。

乗務員なんだから、せめて他の駅員とか上司に丸投げしていればこんな大騒ぎにならずに済んだのにとつくづく思います。

もう退職してかなりの時間がたってるので言えますが、私が駅員時代は結構そうやって自分で対応しきれないモンスター客は対応できそうな先輩や上司に丸投げしまくってましたよwww。

それをせずに車掌さん一人で対応していたとのことなので、相当真面目な人だったということでしょう。

一部マスコミやネット上の意見で職務怠慢だの不真面目だのという声がありますが、かなり真面目な性格で一人一人の客に対応しないといけないと考えたから結果キレちゃってるわけです。

本当に職務怠慢で不真面目な人だったら「俺に言われても知らんがな」の一言で片付けますからね。客の言うことにいちいち真剣に耳なんて貸しませんよ。そこんとこわかってない連中が多すぎます。

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人身事故が起きているときに客対応なんかできるか

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私も駅で人身事故での対応は何度もやったことがあります。その時の客のモンスターっぷりは退職してから何年たっても昨日のことのように思い出せます。

もうね、カオスですよ。改札に人が殺到して払い戻しだの電車早く動かせだの、家に帰れないどうしてくれるんだだの、果てはいつまでも運転再開しないのは会社の過失だから弁護士を呼ぶだの(?)罵詈雑言、クレームの嵐です。

それに対して100%悪くない駅員さんが頭を下げつつ、必死で対応しているわけです。

改札ですら客対応で死にそうになるのですから、実際に事故が起きた現場なんてもう戦場ですよ。

それこそまともな客対応なんかとてもできたものではありません。

そんな異常時にホテルマン並みの客対応を期待するほうがどうかしています。

鉄道の人身事故を交通事故に当てはめてみたらよくわかること

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人身事故が起きたときに鉄道会社に客対応を求めることがどれだけ愚かなことか、身近な例でたとえてみるとよく理解できますよ。

仮にあなたが自分の車を運転しているとしましょう。しかし横断歩道もない道路の脇から突然人が飛び出してきてはねてしまった。

当然停車しますよね?そしてぶつかった人のもとに行きますね?間違えてもはねた人をほったらかして車の運転を再開したりしませんよね?

はねられた人は軽いけが程度で済んでいるかもしれないし、もしかすると打ち所が悪くて意識不明の重体になっているかもしれない。

そんな時に後続車が渋滞していて後ろから「早く車を動かせ!」「何やってんだ!」「家に帰るのが遅れるどうしてくれるんだ!」「後ろのドライバー一人一人に丁寧に謝罪して対応しろ!」などと罵声や怒声が聞こえてきます。

目の前のはねてしまった人の対応もしないといけないし、後続車のドライバーの対応もしないといけない。

これが人身事故が起きた直後の鉄道会社の状態です。

いかに人身事故が起きたときに鉄道会社にクレームをつけたり、ましてや駅係員や乗務員に罵声や怒声を浴びせることが理不尽で無意味なことかがよくわかるはずです。

まして交通事故なら事故を回避できなかったドライバーに責任がありますが、鉄道は専用軌道ですからブレーキをかける以外に事故を避けようがありません。

もっとも非常ブレーキをかけてもすぐには止まれませんから結局事故は避けられないことになります。

大体、関係者以外がむやみに線路上に侵入すること(電車に飛び込むことも含めて)自体が違法なのでそれで結果電車にはねられても100%鉄道会社は悪くありません。この事実を意外とみなさん知らないんですよね。

あたかも人身事故が起きると鉄道会社側が悪いみたいに言う人がいますが大間違いです。むしろ被害者側なんですからね。

 強すぎるお客様意識が招いた悲劇

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先ほどの例のようにたとえたら鉄道の人身事故が起きた際に駅係員や乗務員にクレームや罵詈雑言を浴びせることが無意味で理不尽化がよくわかってもらえたかと思います。

そもそも何かクレームや要望をなんでもかんでも言えば通ると思っている思考がどうかしていると私は本気で思っています。

あなたがクレームや要望を企業に伝えたところで企業側はそれを聞かないといけない理由や義務など一切ないのです。ここのところわかってない人多すぎです。

たまたま日本の会社はえてして「お客様」を大事にしようとしているのでとりあえず「聞く姿勢」だけは持っているだけなのです。

今回の事件は「とりあえずクレームや要望、その他無理難題を言っとけばいいだろ」という「お客様」の思考が暴走した結果起きた事件です。

それがたまたま近鉄で起きただけの話です。それを鉄道会社の企業姿勢がどうの、車掌が職務放棄するなど言語道断だの言うのは論点がずれまくっているのです。

誰だって無理難題、できもしないことやどうしようもないことを複数人に囲まれて言われたらブチ切れるでしょう。いくら仕事としてやっていても人間の我慢には当然限界があります。

「自分がされて嫌なことは人にはしない」なんて言うのは小学生時代からこの日本では教育で教え込まれているはずなんですが、大人になるとなぜかお金を払えば何を言っても、何をやってもいいなんて勘違いする下品な人が続出するんですよねえ。実に不思議。

「お客様」と会社の関係なんてしょせんお金とモノ・サービスの交換をしている関係にすぎません。それ以上でもそれ以下でもありません。

いつからお金さえ払えば何を言っても、何をやってもお客様だから許されるなんてことになったんでしょうか。

まだ言葉も話せない赤ちゃんが泣いて自分がしてほしいことを伝えるのはまだ可愛げがありますが、いい年した大人が「お金を払っている」というただ一点のみで、企業側に理不尽なクレームや罵詈雑言を喚き散らしている姿は滑稽以外の何物でもありません。

お客様至上主義が行きすぎた証拠

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今回の事件で浮き彫りになったのは、お客様至上主義が行きつくところまで行っちゃってるということです。

なんせ従業員がキレて職務放棄するくらいなんですから。

間違えてもこの車掌さんを責めるわけにはいきません。まあどのみち会社の処分がどうなろうがこの方は退職するでしょうけどね。そんな過剰なクレームに対応しないといけないほど給料もらってないだろうし。

一部では寛大な処分をという声も上がっているようですが最終的にこの乗務員の仕事を続けるかどうかを決めるのはこの車掌さんなので外野がどうこう言っても無意味です。

まあ、私だったら100%辞めますね。だってもう一度キレちゃってるし心情的には時間がたっても「こんな仕事やってられるか」と思ってることでしょうし。

まあお客様意識が暴走すると最終的に、モノやサービスを提供する側がいくらお金をもらっていてもキレて仕事を放棄しちゃうこともあるということを世間に知らしめたあたり少なからず社会に与えたインパクトは大きかったように思います。

鉄道って身近な乗り物なのに、びっくりするくらい無知や無理解がまかり通ってるよなあと思っている私のプロフィールはこちら